既往の問診の対策〜ゴロを使って問診項目を覚える〜小児・婦人科用の既往のゴロも紹介 #9

前回のおさらいをどうぞ

既往系の問診セットには3種類あります。

・婦人科疾患を強く疑う場合は婦人科の既往セットを使います。

・子供の場合、子供の既往セットを使います。

・上記以外の場合、一般的な既往セットを使います。成人女性であっても婦人科疾患の疑いが高くない時は、一般的な既往セットで良いです(月経や性交歴は軽く聞く程度)

既往の問診ができれば覚え方はなんでも良いです。参考にしてみてください。

一般的な既往セット

 PAM FOS WADA SD TOESというゴロで覚えます。USMLE 2CS対策中に見つけたゴロで、意味不明で覚えるのが大変でした。
 しかし、多くの項目を覚えられるので、項目の少ないゴロを何種類も覚えるより最初にこのゴロを1種類覚えてしまう方が個人的にはおすすめです。小児を除く37症候はこれで問題なかったです。

Past Medical/ Surgical history:PMH/PSH
Allergy
Medication:Meds

Family history:FH
Obstetric / Sexual(gynecologic)

Weight
Appetite
Diet
Alcohol

Smoke
Drug

Travel or Trauma
Occupation
Exercise
Stress

  • これまでにかかった病気はあるか・手術や入院したことはあるか
  • アレルギーはあるか(薬、食べ物、金属)、あればどんな症状か(皮疹だけか、呼吸困難を伴う危険なレベルかなど)
  • 内服薬はあるか、しっかり飲めているか
  • 父と母は何歳の時にどんな病気をしたか。兄弟はどうか
  • 後で紹介する婦人科の既往セットで必要なものを問診
  • 体重変化はあるか、あればどれだけの期間でどれだけ変化したのか
  • 食欲はあるか
  • 食事内容はどのようなものか
  • アルコールは飲むか、飲むなら何をどんな頻度でどれだけ飲むか
  • タバコは吸うか、一日何本をいつまで(何歳から何才まで)吸っていたのか(ブリンクマンを出せるように)
  • 違法ドラッグはやっていないか。何を使ったか、どんな頻度で、いつまで吸っていたか、最後に使ったのはいつか(離脱症状に必要なので)
  • 旅行はいつどこへ行ったか、転ぶなどしてケガはしていないか
  • 職業は何か
  • 運動は週に何分くらいしているか
  • ストレスになる出来事はないか

婦人科の既往セット

 LMP R TV CS PAPSというゴロを覚えます。これも意味不明ですが、意味のある部分については少しでも覚えやすくなるように紹介します。
 LMPとは、Last Menstrual Period:最終月経のことです。
 CSとは、Clinical SkillでアメリカのOSCEのことです。
 PAPSとは、Pap smear (PAPanicolaou Smear)のことで、子宮頚がんのスクリーニングとしてPAP Smearは(少なくともアメリカでは)有名です。

Lactation(乳汁分泌)
Menarche / Menopause(初経・閉経)
Period (生理周期)
LMP=Last Menstrual Period (最終月経)

Regular (周期が整か)

Tampon 
Vaginal discharge (性器分泌物)

Cramp / Contraceptive use (生理痛、避妊)
Spotting (生理ではない時の出血)

Pregnancy (妊娠歴)
Abortion (流産歴)
Pap smear (子宮頸癌のスクリーニング)
Sexually Transmitted Infection (STIの既往)

  • 胸が張って痛いことはあるか、分泌物が出てないか
  • 初潮は何歳頃か、閉経は何歳頃か
  • 最終月経はいつか、何日続くか
  • 生理周期は整っているか
  • 1日にタンポンやパッドは何枚使うか
  • 膣から分泌物が出るか(おりもの)、痒くないか
  • 生理痛は重い方か
  • 性交渉はあるか、6ヶ月以内でパートナーは何人か、性的な嗜好(男、女、両方か)、どんな避妊方法を使っているか(IUD、ピルなど)、毎回使っているか
  • 生理と生理の間に性器から出血があることはあるか(生理ではないのに出血するか)
  • 妊娠したことはあるか、何回か、経膣か、子供は何人か(妊娠しても流産しているかもしれない)(※G2P1A0とかけるように)
  • 流産や中絶したことはあるか
  • 子宮頸がん検診は受けているか、いつの結果か、結果はどうだったか
  • STIにかかったことがあるか、あるならいつか、どう治療されたか

 下垂体腫瘍を疑った場合など乳汁分泌の問診を忘れやすいですが、このゴロを覚えているとLactationで思い出せることがあります。

※Gravidity=妊娠回数、Parity=出産回数、Abortion=中絶回数。C/S=Cesarean sectionで帝王切開のこと。カエサル(Caesar、シーザーとも)が由来。

小児の既往セット

 PAM IF BIG DEALというゴロで覚えます。単語レベルではいけますが、文レベルではやはり意味不明です。 
 覚えるのは大変ですが、やはり項目が網羅されており、これさえ覚えれば基本情報は集められるので、個人的にはおすすめです。

Past Medical History / Past Surgical History : PMH / PSH
Allergy
Medication : Meds

Ill contact
Family History : FH

Birth history
Immunization
Growth

Daycare
Eating
Activity
Last medical check-up

  • これまでにかかった病気はあるか・手術や入院(Past Medical/ Surgical history⇨PMH、PSH)
  • アレルギーはあるか(薬、食べ物、金属)、あればどんな症状か(皮疹だけか、呼吸困難を伴う危険なレベルなのかなど)
  • 内服薬はあるか、しっかり飲めているか
  • 周りで流行っている病気はあるか、似た症状の人が家族や周囲にいないか
  • 妊娠中、分娩中で何か問題はあったか、分娩は経膣か帝王切開か、退院するまでに何か問題はあったか
  • ワクチンはスケジュール通り打っているか
  • 身長体重は成長曲線でどうなっているか、発達は正常か(心身ともに成長曲線で問題ないか)
  • 幼稚園や保育園などの施設に行っているか、流行っている病気はないか
  • どんなものが好きで、何を食べているか
  • 元気に遊んでいるか
  • 健診や医療施設を最後に受診したのはいつか

次回はまとめはどうすれば良いか、心配事の問診の切り口のパターンについてゴロを交えながら紹介します。

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