心配事とまとめで聞くこと〜「かきかえ」を覚えてヒントを聞き出す・患者満足度を上げる〜#10

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まとめについて

心配事の問診について

 心配事について、何が心配なのか日常生活にどのような影響が出て困っているから来たのかなどを聞きます。

 これだけでも十分ですが、問診に幅を持たせたい人は、「かきかえ」というゴロを覚えておきます。
 解釈、期待、感情、影響という言葉の頭文字をとったものです。患者さんの受療動機や心配事を言葉に「書き換える」ためのヒントとして「かきかえ」のゴロを使うと覚えます。本家と多少異なるかもしれませんが、「かきかえ」を個人的にどう使っているかを以下に紹介します。

かいしゃく

 解釈では、患者さんがどのように病気を捉えて(解釈・理解して)いるか・何か原因として思い当たる事はあるかという内容の質問を考えます。
 「夏に祖父の家でクーラーをつけるといつも咳が出るからそれだと思う」など診断の手掛かりになる答えがもらえる場合があります。また、コントロール不良になった糖尿病患者さんの「チョコはだめって言われて食べてないよ、でも小豆は赤飯にも使うようなものなんだからぜんざいは気にせず食べても大丈夫でしょ?」などという独自の論理を理解する時にも役立ちます。

きたい

 期待では、患者さんが何を解決したくて来院したのかを考えます。
 「何か希望されてる検査・治療はありますか?その他のことでも構いません」のように聞くと良いと思います。
 例えば、腰痛で来院した人が除痛目的で来ているとは限りません。中には、妻が骨転移で腰を痛がっている⇨自分の腰痛も転移によるものではないかと不安になった⇨転移の有無を検査して欲しくて来院というケースかもしれません。標準医療が常に正解とは限りません。患者さんの期待と医療の折り合いをつけながら診療するために期待は聞くと良いかもしれません。

かんじょう

 感情では、「何か心配な事はありますか?」「何が辛いですか?」「どういう風に感じていますか?」などと質問します。
 「友人が最近心筋梗塞で亡くなったので、私の胸痛もそうじゃないかと心配で・・・」「腰が痛くて眠れない」「死ぬのではないか」という類の返答が予想されるので気持ちに寄り添った上で、診療に役立てていきます。

えいきょう

 影響では、「何か日常生活に影響は出ていますか?」「症状のせいで困っている事はないですか?」などと聞きます。
 「指の関節が痛くて事務の仕事ができなくて困っている」のような返答があれば、それを解決できるように治療方針等を考える事ができます。

問診フェーズのまとめについて

 まとめでは患者さんのこれまでの話を簡単にまとめます。折り込む要素は以下の通りです
            「時間経過や症状の有無の要点+心配事
 具体例を以下に示します。

 (まとめ)コップを洗おうとした瞬間に突然、みぞおちが10段階で7くらい痛くなって、30分以上続いたので来られたのですね。冷や汗はあって、動悸や息苦しさはないのですね。
 (心配事)お父様が心筋梗塞ということもあって、心配だと思います。
 (次へつなげる)病気についてさらに調べるために次は身体診察をさせてください。

 意識していることは、以下の3つです。
・まとめでは1文に3ー4要素を盛り込むこと
・要点をかいつまむこと

まとめは数文にすること
・まとめの次に心配事を盛り込むこと

 要点をかいつまめているかどうかの判断は、まとめで話した内容から何を疑っているのか友人に伝わりそうかどうかを基準にすれば良いと思います。

 上記の例では心筋梗塞を疑っていることが分かるかと思います。
 また、診断の要点になる突然発症である事、心窩部痛が30分以上持続していること、冷汗があることを確認しています。聞き間違いや勘違いがあればここで訂正してもらう事が期待できます。

 具体例にあるようにまとめの後に身体診察に繋げるのがお勧めです。

 まとめはあっさりで良いと個人的に思っています。僕は本番も上記のような簡単なまとめでしたが、合格しています。

次の記事では身体診察について紹介します。

すべき身体診察を覚えるゴロや型を知りたい場合にはお勧めです。

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