腹痛のアプローチ方法、鑑別・問診・身体診察からメモの取り方・プレゼンまで紹介。要点まとめを読んでない場合は、こちらを読んでから37症候の記事を参考にすることを強くお勧めします
アプローチ
腹痛が課題の時に考えていること
- 痛い系なので鑑別臓器を挙げる
- 腹部をイメージして、鑑別臓器として心臓、消化管、肝・胆・膵、泌尿器、生殖器を考える
- 消化管は必要なら食道、胃・十二指腸、小腸、虫垂、大腸とさらに細かく考える
- 鑑別臓器の数が多いので、症状+臓器で鑑別疾患を挙げる
- コツは、1臓器名+炎・癌、2詰まる・捻れる・破れる疾患、3臓器固有疾患を挙げる+作った鑑別疾患セットを展開する
- 上記の大まかな方針を立てて患者さんを呼び入れる
患者を呼び入れてから時間経過を聞くまでに考えていること
- 自己紹介から詳しく教えてまでを型通りに聞く。メモ用紙に十字を書いて4分割する。
- 時間経過の問診をOPQRSTやOPD〜のうち必要な項目を聞く。必要な項目は、項目+症状で鑑別が挙がるかどうかで判定する。
※痛い系はOPQRSTをルーティンで聞くと考えても良い - ゴロの頭文字をメモに記載。左上にできるだけ医学用語で返答をメモ
症状の有無を聞く時に考えていること
- 鑑別カテゴリを意識しながら症状の有無について問診する
- 症状+臓器+病態の足し算をする前に臓器固有疾患から考える
- 鑑別疾患を挙げながら各臓器の問診セットのうち聞く必要のあると思うものを聞いていく
- 必要に応じて疾患特異的な問診をする
- メモするのはカテゴリと問診項目。症状あれば丸で囲む。
・腹痛+心臓=ACS
⇨心臓症状(嘔気・冷汗、動悸・息切れ、失神、浮腫など)
※ACS・PE・解離の3つで1つのセットにしておくと良い
※固有疾患を考える時は詰まる・捻れる・破れるを連想
・腹痛+胃・十二指腸=消化性潰瘍、アニサキス
⇨NSAIDs使用に注意、海鮮食べてないか、食前後に腹痛
⇨消化器症状(嘔気・嘔吐、腹痛、下痢・便秘、排ガス、黒色便・血便)
※胃潰瘍は食後に腹痛、十二指腸潰瘍は空腹時に腹痛。
※消化性潰瘍は胃・十二指腸の臓器固有疾患。アニサキスは腹痛+Infectionで出せなくはないが想起しにくいので、この時点で想起できると良い。胃腸炎→アニサキスを連想がおすすめ。
※便が黒い・赤い・白いということはないですか?は有用。血液が胃液に触れると酸化されて黒い→上部消化管らしさがある。胃液に触れてない血液(血便)→下部消化管出血らしさがある。ただし、上部消化管で大量出血していれば多量の血便になる(胃液と反応する前に出てくる)
・腹痛+小腸・虫垂・大腸=腸閉塞・鼠径ヘルニア、虫垂炎・憩室炎
⇨排ガス・排便の有無、食欲不振、痛みの移動
⇨聞き忘れた消化器症状あれば。
※詰まる・捻れる・捻れるで腸閉塞。高齢者の腸閉塞では原因の1つとして大腸癌を疑う。大腸癌が腸管内に飛び出して通過障害=詰まらせていることは原因として重要。
※鼠径ヘルニアは臓器固有疾患。腸閉塞の原因の1つとして想起するようにしておいても良い
※臓器名+炎で虫垂炎。憩室炎は虫垂炎とセットにしておく→セット展開して鑑別に挙げる
※セットにするのは似た症状を呈する疾患。右側の憩室炎は臨床的に虫垂炎と鑑別が難しいことがある
・腹痛+胆嚢=胆嚢炎、胆石症
⇨油っぽい食事後に腹痛
⇨肝・胆・膵症状(黄疸)
※臓器名+炎で胆嚢炎。類縁疾患として胆石症を出す
※胆嚢炎のリスクは4F=fair(白人), fat, female, forty(40代)。
※胆石症はキリキリ痛いのが典型
・腹痛+膵臓=膵炎
⇨アルコールのBinge drink(大量摂取)、胆石、背部痛
※臓器名+炎を使う
※2大原因はアルコールと胆石。
※胸膝位(胸と膝を近づける土下座のようなポーズ)で寛解が有名。仰臥位では炎症のある膵臓がお腹の肉と背骨で挟まれて刺激されて痛いので、挟まれないように胸膝位をとる
・腹痛+泌尿器=尿路結石
⇨泌尿器症状(排尿痛、血尿、頻尿)
※尿路結石は泌尿器の臓器固有疾患として覚えておく
※良い大人が転げ回るくらい痛いのが特徴。繰り返すことが多い
・腹痛+生殖器=卵巣捻転、卵巣出血・異所性妊娠、PID(骨盤腹膜炎)
⇨婦人科症状(月経系、Sexual contact、性器出血、おりものの量・質(性状)、発熱)
※詰まる・捻れる・破れるで捻転と出血。異所性妊娠が致命的になるのは胎児組織から大量出血するから→破れるで連想する。婦人科固有疾患と覚えても良い。
※腹痛+Infection=PIDを考えることできるが、おりものの問診する時に連想できると良い。連想したら発熱を聞く
※月経系の問診はカレンダーを作成できるように。最後の月経はいつか、何日続くか、何日周期か・規則正しいか(カレンダー的には次の予定に必要)
・腹痛+Infection=アニサキス、PID(各臓器で想起できなかった場合)
⇨発熱
※ここで想起できる可能性は高くないので、できれば各臓器で挙げられるようにしておく
※感染では、細菌・ウイルス・結核・真菌・寄生虫のカテゴリを連想→寄生虫でアニサキス
既往の問診で考えていること
- 既往の問診を型通り行う
- 型のうちPAM FASは聞くことが多い=PMH、Allergy、Meds、FH、Alcohol、Smoke
PMH=Past Medical History FH=Family History
心配事とまとめで考えていること
- 心配事を聞いた後、メモを見ながらまとめを話す。
- まとめは何を疑っているのか友達に分かるような10秒くらいのプレゼン→心配事を織り混ぜる→身体診察させてくださいという構成を意識する
(数日前から食欲がなくてみぞおちのあたりが痛かったのが、右の下っ腹に移動して吐き気も出てきたのでいらっしゃたのですね。痛みも強くなってきていて心配だと思います。病気についてさらに調べるために次は身体診察をさせてください)
身体診察で考えていること
- 手指消毒をする+意識レベル・バイタル・全身状態の3つをまず述べる
- 身体診察は神経診察が必要なものとそうでないものに分けて考える
- 神経診察は特に不要なので、以下のルーティンの診察から必要なもの(太字)を行う
- 心臓、腹部、泌尿器は鑑別カテゴリなので行う
※心筋梗塞らしさがある場合、冷汗や心不全で肺音に異常が出ていないか調べる
※心筋梗塞らしさがない場合、JVDや下腿の診察は時間がなければ省略
Head:圧痛の有無など
Eye:瞳孔の大きさ・左右差・対光反射、眼球結膜の貧血・充血・黄染など
Ear:外耳の皮疹、鼓膜の発赤・腫脹など
Nose(Sinus):副鼻腔の圧痛・叩打痛など
Throat:咽頭・扁桃の発赤・腫脹・白苔の付着など
頸部:頸部リンパ節腫脹、甲状腺の腫大・結節・圧痛、JVD(頸静脈怒張)
心臓:心音(I音、II音、収縮期・拡張期雑音、3音、4音)
肺:胸郭・呼吸の様子(呼吸補助筋)、肺音(両側清で左右差なし、Coarse/fine crackle、Wheeze/Rhonchi)、胸部の皮疹
腹部診察:平坦・軟・手術痕、腸蠕動音の亢進・減弱、鼓音・濁音、圧痛・マックバーニー・筋性防御・反跳痛、腫瘤触知、肝脾腫・肝叩打痛・マーフィー
CVA knock pain:CVA knock painの有無
下肢:下腿浮腫・把握痛・発赤、拍動など
メモの一例
プレゼンはメモを見ながら行う。
- メモ左上の時間経過に関するプレゼン
⇨一文が長くなり過ぎないように注意。問診がしっかりできていれば、基本的にはOPQRSTを一文が適切な長さになるように読み上げれば大丈夫なはず。 - 臓器別の症状に関するプレゼン
⇨陽性所見所見、除外したい疾患の所見、よくある疾患の所見、その他陰性所見という流れ - 既往に関するプレゼン
⇨読み上げればOK。時間がどうしてもない場合、重要度の低い箇所のプレゼンは省略する。 - 身体診察に関するプレゼン
⇨陽性所見所見、除外したい疾患の所見、よくある疾患の所見、その他陰性所見という流れ - 鑑別疾患に関するプレゼン
⇨一番に疑っている疾患、その主な根拠になる所見3つ程度、他の鑑別とその主な根拠数個、今後の検査・治療
除外したい疾患とは、命に関わる・機能障害を生じるような疾患のことです。
胸痛であれば、命に関わる疾患としてACS、消化性潰瘍(大量出血の場合)、異所性妊娠などは怖いです。
慣れてきたら、これらを除外するように意識して診療したことをアピールできるプレゼンができると良いと思います。
~痛い系のポイント~
・痛い系は発症様式がメインで重要。OPD系やOPQRSTなど発症様式を聞くためのゴロを使ってしっかりグラフが書けるような病歴をとる。痛い系で発症様式が問診のメインとなるのは、発症の仕方や痛みがゼロになるかなどで危険度の評価や鑑別疾患を絞りやすい症候だから。
・ゴロに加えて関連の問診(食事、運動、姿勢、時間帯など)も適宜使う
・痛い系では原因カテゴリは考えなくて良い。痛い領域近辺の鑑別臓器を挙げるところからスタート。鑑別臓器を挙げたらその臓器の問診セットを使って問診していく。ただし、このやり方では嘔吐や腹痛、下痢・便秘などは聞けるが疾患特異的な質問は抜けるので注意。イレウスで排ガスなど
・症状+臓器+病態のヒントから出すことが難しい臓器固有の疾患は、頑張って覚えておくのがおすすめ。例えば、肺であれば喘息・COPD・気胸など(症状+肺+VINDICATE P2でこれらを出すのは難しい)
・内臓痛と体性痛、関連痛の特徴は押さえておく。これも鑑別を絞るのに有用だから。虫垂炎が全てを内包したとても良い例。
※PCC OSCEのコアカリの表に記載のある項目(鑑別・問診・身体診察)には赤線が引いてあります。載っていない項目については引いてないので覚える必要はありませんが、学習の役に立つかもしれないので参考までに記載しました。
※鑑別疾患は全て挙げられるようにすることをお勧めしますが、問診・身体診察は8割程度の項目が埋まれば良いと個人的に考えます。
#胸痛
@鑑別
・腹痛では鑑別臓器は乳首からパンツの下限までと考える。心・肺、消化管、肝・胆・膵・脾、泌尿・生殖器、皮膚・筋骨格となる。
・鑑別疾患は胸痛+臓器で直感的に数個挙げる。臓器名に炎・癌をつけたり、詰まる・捻れる・破れるという病態、臓器固有疾患を考えると良い。鑑別がうまく挙がらない場合、病態カテゴリのVIN程度はざっと考えてみる。
・アニサキスで海鮮を食べたかを聞くのは狙わないとできないのでこういう類の疾患(臓器固有疾患)は覚えておく。
腹痛+心臓=心筋梗塞系
腹痛+肺=肺炎
腹痛+胃=胃・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)、アニサキス
腹痛+小腸=鼠径ヘルニア・腸閉塞、胃腸炎
腹痛+虫垂=虫垂炎・憩室炎
腹痛+大腸=大腸癌(腸重積?)、宿便・捻転・破裂
腹痛+肝臓=肝炎系
腹痛+胆嚢=胆石・胆嚢炎、胆管炎
腹痛+膵臓=膵炎、膵癌
腹痛+脾臓=脾臓破裂
腹痛+泌尿器=尿路結石・腎盂腎炎・腎梗塞・解離
腹痛+生殖器=異所性妊娠(固有)、卵巣/精巣捻転・出血(V)、PID(I)
#Tips 鑑別編
・PCC OSCE的に覚えなくて良いが、肺炎の関連痛で腹痛を生じることがある。
・消化性潰瘍、アニサキスは胃の臓器固有疾患
・小腸のヘルニア・腸閉塞は臓器固有疾患
・鼠径ヘルニア・イレウスはセット。個人的に鼠径ヘルニアは忘れやすいので、イレウスの原因として鼠径ヘルニアを紐付けることで鑑別に挙げられるようにした。鼠径ヘルニアが鑑別に挙がらなくても鼠径部の腫瘤の病歴・身体所見があれば診断は難しくないと思うが、患者さんがその病歴を話してくれない場合に迷宮入りのリスクがある。
・虫垂炎・憩室炎はセット。僕が5年生で外来で診察させてもらった患者さんは腹部全体の痛みが右側に限局してきたので虫垂炎を考えましたが、CTをとると憩室炎だった。虫垂炎を挙げたら憩室炎をセットで出す癖がないと、憩室炎は忘れる可能性が高いので注意が必要。
・高齢者の腸重積はまず大腸癌から考える。腸管内腔に飛び出た大腸癌が便に引っかかり肛門側へ引っ張られ重積するから。
・胆石は胆嚢固有疾患
・尿路結石は泌尿器固有疾患。Post CC OSCEでは不要だが、続発して腎盂腎炎になる可能性や、実は腎梗塞や解離・AAAの痛み・血尿を見ているだけではないかを考える。エコーでこれらを見てみる。
・異所性妊娠は生殖器固有疾患。・生殖器は女性では卵巣では卵巣出血や卵巣捻転を考える。卵管では異所性妊娠を考える。子宮・膣ではSTD・PIDを考える。
・精巣捻転と精巣上体炎はセットにすると良い。鑑別が必要だから。
・バックアップとしてVINDICATE P2をざっと行っても良い。アニサキスはIの感染カテゴリで細菌・ウイルス・結核・真菌・原虫(寄生虫含む)カテゴリを考えて、原虫(寄生虫含む)から挙げることもできる。
・痛い系の症候では炎症があることが多いので、感染と同じように臓器名に炎をつけてしまえば良い。例えば、大腸炎。これで物足りなければ病態を追加して虚血性や潰瘍性、細菌性などつけてみれば鑑別は広がる。
・痛い症候や突然発症の症候では、構造が壊れたことに起因するものも多く、管(血管、消化管など)が詰まる・捻れる・破れるをイメージすると良い。宿便・捻転・破裂など。
・不安なら病態カテゴリのVIN程度はざっと考える。
@問診
・詳しく教えてください⇨OPD系をフルで聞く(疑う疾患に応じて適宜省略する)
・具体的にはOnset, Progression, Duration, Constant, Setting, Frequency, Location, Intensity, Quality,Radiation, AA, Assosiated, Similarを聞く
・関連の問診で、運動や食事との関連について聞く
・Settingでは何をしていた瞬間に痛くなったかが言えるか確認し、言えれば突然発症=詰まる・捻れる・破れると考える。
・心臓の臓器症状/MIを考えて、冷汗、動悸、失神などを聞く
・肺の臓器症状を考えて、呼吸困難、咳・痰を聞く
・消化管の臓器症状を考えて、嘔吐、下痢・便秘、便色が赤・黒・白などを聞く
・アニサキス・胃腸炎を疑って、最近、刺身や牡蠣、生焼けの鶏肉など食べてないか、周囲で同じ人はいないか、旅行で何か変わったものを食べてないかなど聞く
・イレウスを疑って、排ガスの有無、手術歴を聞く
・肝・胆・膵症状を考えて、黄疸、食事との関連、アルコールの大量摂取などを聞く
・泌尿器の臓器症状を考えて、血尿、排尿痛などを聞く
・生殖器の臓器症状を考えて、膣分泌物・性器出血や性交歴・月経歴について聞く
・全身症状として、病態(VINDICATE P2)をでざっと考え、I;発熱、N:健診・体重変化、T;外傷、P;ストレス、P:性器出血などを聞く。
・既往はPAM系を聞く。どの症例でもPMH, Allergy, Meds, FH, Alcohol, Smoking, Occupationは最低限聞くと良い。イレウスを疑う時はPMHとセットでPSH=Past Surgical Historyを聞くと良い。MIが鑑別に挙がる時はExerciseを聞いても良いかもしれない。女性の場合、月経・性交歴が必要かどうかは必ず考える(腹痛では基本的に聞く)
・まとめと心配事を聞く。
※多めに書いてある。全て聞くのは時間的に厳しいので赤線を優先・疑う疾患を確かめるために必要な項目を聞く。個人的に赤線の項目が8割以上聞ければ良いと考える。
#Tips 問診編
・重複する問診項目がある。どこかで聞き忘れてもバックアップが取れるようにするため。
・急性膵炎の2大原因として、アルコールと胆石は重要。
・歩くと響く、咳が腹に響くは腹膜刺激症状と捉えて良い
・痛みがある場合は関連の問診も忘れない。食事、運動、姿勢、時間帯などに関連して痛みがでないか聞く。
・食事との関連では、食事の前と後のどちらで痛むか、卵や揚げ物など脂肪が多く含まれるものを食べた後に痛くならないかなどを聞く。食事の前に痛むのは十二指腸で、食事で薄められていない胃液が十二指腸へ流れるから痛いイメージ。食事の後に痛むのは胃潰瘍で、食事で胃液が分泌され潰瘍部分に胃液が触れやすくなるイメージ。脂肪で痛むのは胆石で、脂肪吸収のため胆汁を出そうと胆嚢が収縮して石が擦れるから。
・痛い症候では炎症があることが多いので、感染と同じように臓器名に炎をつけてしまえば良い。大腸炎で物足りなければ病態を追加して虚血性や潰瘍性、細菌性などつけてみれば鑑別は広がる
・痛い症候や突然発症の症候では、構造が壊れたことに起因するものも多く、管が詰まる・捻れる・破れるをイメージすると良い。
・オスキーで余裕があれば聞けば良いが、臨床的には消化器症状は出てくる順序が重要。胃腸炎であれば(生体防御の観点から?)上から下に症状が出る。嘔吐で出す、出せずに腹痛で苦しむ、早く出そうと下痢になるという順になる。この順番が入れ替わっている場合、胃腸炎らしくない。例えば虫垂炎は炎症から始まるので腹痛があり、その後に気持ち悪くなって嘔吐が出ることが多い。上から下は大丈夫だが、下から上は危険=虫垂炎、腸重積、イレウスなどが隠れている可能性がある
・胃腸炎は上から下に症状が出ていることも特徴の1つだが、下痢が頻回に出ているということが特に重要。Post CC OSCE対策には関係ないが、命に関わることもあるDKAは嘔気や腹痛がメインなので胃腸炎と誤診されることが多いらしい。下痢がない場合は診断に注意が必要なのでゴミ箱診断的に安易に胃腸炎と診断せず、DKAなど他疾患を見逃さないようにする。「研修医は頻回な水様下痢がないなら胃腸炎と診断するな」という実習で聞いた言葉は重要。
・消化管症状を上から嘔気、腹痛、下痢・便秘、便の色という順に聞いてイレウスやヘルニアだけは忘れずに排ガスと腹部腫瘤を聞くようにイメージすると問診を覚えやすい
・女性を見たら妊娠を疑えは有名
・卵巣出血は性交と関連があるので性行為と腹痛の関係についても聞くことが大事
@身体診察
・手指消毒をして、意識レベル・外観・バイタルを簡潔に述べてから診察を始める。
・動作・感覚の症候ではないので神経症候ではない⇨一般診察をする
・フルの一般診察=#1をコピー
・上記に加え、実際に手を触って冷汗があるか確かめても良いかもしれない。
・時間がない場合は鑑別臓器・疾患に関係する身体診察から優先的に行う。
・鑑別臓器として消化管がメインで挙がるので腹部診察(時間ないならまず最初にやる)
・血便・黒色便が見られる場合や消化性潰瘍など出血性病変が考えられる場合はDREをして出血の有無を確かめることを考える、大腸癌が鑑別なら腫瘤を探す(時間があればDRE)
・鑑別臓器として泌尿器が挙がるのでCVA knock pain
・貧血が疑われる場合は眼球結膜の貧血を調べる
・鑑別臓器に心臓・肺があるで、服を1枚脱いでもらい、聴診器を温めて、心音・肺音の聴診。頸静脈怒張、頸部血管の聴診、下腿浮腫・DVTの診察(時間があれば行う)
※多めに書いてある。全て行う必要はなく、個人的には赤線項目の8割程度できれば良いと考える。
#Tips 身体診察編
・婦人科疾患は腹膜炎になっていてもお腹は柔らかいことが多い。しかし、反跳痛はある。消化管疾患だとお腹は硬いし反跳痛もある。
メモ・プレゼンへのリンク貼る
次は痛い系その4腰背部痛を紹介します。
37症例一覧へ